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全国の読書会のことはツイッターなどでよく目にしていたものの、どういうことをやっているのかなとイマイチ具体的にイメージできずにいました。この本では報告書が一本まるまる掲載されており、楽しげな読書会の様子が伝わってきます。それらにできるだけ出席し、盛り上げようとする越前氏の熱意も。
また、読書探偵作文コンクールについても私は大きな誤解をしていたようです。なんとなく探偵小説に関するものかと思い込んでいました。「読書探偵」とは、「おもしろい本を探すこと」が仕事なのだそうです。その面白い本を紹介するための作文コンクールなのです。「感想文」ではなく「作文」なところがポイントで、この本には小学生の二作品が載っていたのですが、不覚にも泣いてしまいました。子どもの感性って本当にすごいなと思うし、手弁当でこういった場を作ろうとする方々を心から尊敬します。なんと、応募者全員へ一次選考委員からのコメントを返送するそうですよ。応募したくなりました…。
しかし、何といっても一番の読みどころは『わたしの修業時代』じゃないでしょうか。ここは、ご本人も「翻訳者志望に限らず、受験生などにもぜひ読んでもらいたい」と仰っていたと思います。わたしも今だから頷ける部分かもしれませんが「講師に添削してもらうことをありがたがる人が多いが、自分で添削するほうが数段力がつくのは当然のことだ」という一節が印象に残っています。「〆切は守るものではなく攻めるもの」などという考え方も、駆け出しのうちは参考になる部分がありそうです。
『なんのために学ぶのか』では、「入学試験であれ、資格試験であれ、試験以外の目標に向けてであれ、何かについて学び抜いた経験は、つぎに新しいことを学ぼうとするときにかならず財産になる」という一節にも、大きく頷けました。
そして、東江一紀(あがりえ かずき)氏のお話…これもまた壮絶でした。末期癌の中、緩和ケアを受けながら訳出を続けた東江氏。万一のときはあとを頼むということで、毎日訳した分を協力翻訳者の布施由紀子さんへ送っていたそうです。「その訳文は、最初は一日に三ページ程度だったが、それが二ページとなり、一ページとなり、一段落となり、数行となった」。最後の一ページを残して亡くなられたそうです。これが「ストーナー」という作品でした。
印象に残ったところを上げていったらきりがないのですが、全編を通して、越前氏の翻訳に対するこだわり、翻訳文学への愛情、それをより多くの人々に広げていきたいという熱意がなみなみと溢れていました。最後までちっとも退屈せず、読み終わってしまうのが惜しいと感じる一冊でした。続編が出そうな雰囲気を感じたので、ひそかに楽しみにしていようと思います。
ところで、数年前にUstreamか何かで越前氏のトークを拝見したことがあったのですが、そこでは「好きだった女の子にフラれて、見返してやる!と思って翻訳家を目指した」というようなことを話されていた気がしますが、そんな話は一言も出てきませんでした。これはわたしの記憶違いか、冗談を真に受けてしまったのか…ふっと余計なことを思い出してしまいました(^^;
しかし、何といっても一番の読みどころは『わたしの修業時代』じゃないでしょうか。ここは、ご本人も「翻訳者志望に限らず、受験生などにもぜひ読んでもらいたい」と仰っていたと思います。わたしも今だから頷ける部分かもしれませんが「講師に添削してもらうことをありがたがる人が多いが、自分で添削するほうが数段力がつくのは当然のことだ」という一節が印象に残っています。「〆切は守るものではなく攻めるもの」などという考え方も、駆け出しのうちは参考になる部分がありそうです。
『なんのために学ぶのか』では、「入学試験であれ、資格試験であれ、試験以外の目標に向けてであれ、何かについて学び抜いた経験は、つぎに新しいことを学ぼうとするときにかならず財産になる」という一節にも、大きく頷けました。
そして、東江一紀(あがりえ かずき)氏のお話…これもまた壮絶でした。末期癌の中、緩和ケアを受けながら訳出を続けた東江氏。万一のときはあとを頼むということで、毎日訳した分を協力翻訳者の布施由紀子さんへ送っていたそうです。「その訳文は、最初は一日に三ページ程度だったが、それが二ページとなり、一ページとなり、一段落となり、数行となった」。最後の一ページを残して亡くなられたそうです。これが「ストーナー」という作品でした。
印象に残ったところを上げていったらきりがないのですが、全編を通して、越前氏の翻訳に対するこだわり、翻訳文学への愛情、それをより多くの人々に広げていきたいという熱意がなみなみと溢れていました。最後までちっとも退屈せず、読み終わってしまうのが惜しいと感じる一冊でした。続編が出そうな雰囲気を感じたので、ひそかに楽しみにしていようと思います。
ところで、数年前にUstreamか何かで越前氏のトークを拝見したことがあったのですが、そこでは「好きだった女の子にフラれて、見返してやる!と思って翻訳家を目指した」というようなことを話されていた気がしますが、そんな話は一言も出てきませんでした。これはわたしの記憶違いか、冗談を真に受けてしまったのか…ふっと余計なことを思い出してしまいました(^^;
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この後、「女の子にフラれて(正確には、まったく相手にしてもらえなくて)一念発起したのは大学受験のときでした( ^_^)」と、越前さんご本人からコメントいただきました。わたしが中途半端に記憶していたようです…失礼いたしました。こういうお話をさらっとしてしまうところが、越前さんの魅力だなぁとまた思います。
「講師に添削してもらうことをありがたがる人が多いが、自分で添削するほうが数段力がつくのは当然のことだ」のほか
返信削除う~んと思わずうなった個所がいろいろありました
うっちーさんの感想を読むと、私の力に余るのに
読みたくなって困ります
あけみさん、専門的な本と一般書を区別なく載せてしまう私も悪いのです〜(>_<) 明確に区別するのも難しいのですが…
削除でも、この本は翻訳業にかかわっていなくても純粋に楽しめる本のような気がしましたよ。角川新書で出てますので、本屋さんの新書コーナーでパラパラっとしてみて、楽しめそうだったらぜひ読んでいただきたいなーと思える1冊です☺
は~い
返信削除私の身近には、うっちーさんからいただいたヒントが楽しく有ります
そう言ってもらえると嬉しいです(^o^)
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