2013年6月30日日曜日

話題の一冊「プロが教える技術翻訳のスキル」

最近、同業の多くの方が購入されている「プロが教える技術翻訳のスキル」。著者が私も存じ上げている方ばかりなので気になってはいたものの、積ん読も増えているのでちゃんと中身を見てから購入しようと思っていたのでした。今日は午前中の翻訳が予想以上に快調に進んだので、午後から書店へ。目次と中身に目を通して即決。ちなみにその書店では平積みで最後の一冊でした。

近所の定食屋さんにて
この本の何よりの魅力は、著者の方々の顔が見えるというか、息づかいが感じられるところだと思います。まだ第1章を読んでいるところですが、第2章では、5名の著者らが自らの翻訳論や翻訳者になった道筋をそれぞれに語っていらっしゃいます。分野も様々ですし個性豊かで、読み物としても非常に面白そうです。一般論ではないところが良いなと。

翻訳の例題もあれば揃えたい辞書やソフトウェアの紹介などもあり、これから目指す方はもちろん、現役翻訳者にとっても有益な情報がたくさんありそうです。そして著者の方々の経歴や考え方、翻訳に対する思いなどを読んでいると、「自分ももっと頑張らねば!」とモチベーションが上がります。

まだ読み始めたばかりですが、うんうんと頷いたり、まだまだ努力が足りないなと思ったり。

たとえば第1章では、翻訳対象を「楽しむための文章」と「情報を伝えるための文章」に分けて解説している箇所があり、前者ではターゲット言語のネイティブが手がけるのが理想だけれども後者ではそうとも限らない、とあります。これは、字幕翻訳では英日しかやらない私が特許翻訳では日英をやることについて、以前からよく考えていたことでした。自分の考え方もあながち間違ってはいなかったと、少しホッとしました。

仕事の合間に読み進めていくのがとても楽しみです。


 

2013年6月29日土曜日

知的財産権について学ぶ

誰にとっても身近にある特許や商標について、こんなセミナーがあることを教えていただきました。

知的財産権制度説明会 2013

翻訳に直接は関係ありませんが、知的財産権制度に関する初心者向けの無料説明会です。全国47都道府県で開催されるそうなので、少しでも興味のある方は覗いてみてはいかがでしょうか。(事前申込み要)

広島での開催は、7月22日(月)13:30~17:00。どんな内容なのか、私も初めてなので詳しくは分かりませんが申し込んでみました。特許翻訳をするにあたって、特許法などの周辺知識はできる限り強化していきたいと思っているのですが、なかなか勉強が追いつかないので。特許庁の方のお話を直接聞けるのは貴重な機会のように思います。

どこまでも続くよー(尾道の線路)



















 

2013年6月28日金曜日

SimplyTermsと秀丸マクロの導入

フリーになりたての頃は映像翻訳にこだわっていました(というか、それしか出来なかった)が、近年は特許翻訳にも本腰を入れています。字幕の仕事は和訳ばかりですが、特許に関して私がいただくのは現在ほとんどが英訳です。勉強を重ねるにつれて、特許にも英訳にもどんどん面白さを感じるようになってきました。やわらかい文章も固い文章も訳せるようになりたいので、これからも機会があれば様々な分野に触れていきたいです。

とうかさん(広島のお祭り)の日に見た紫陽花
調査や裏取りが大切なのはあらゆる翻訳に言えることですが、技術翻訳には映像翻訳と全く方向性の違う注意点があります。例えば、用語の統一。映像翻訳の場合、同じ単語が何度も出てきたら何とか言い回しを変えるよう頭をひねります。逆に特許などでは、同じ単語は同じ表現になるよう統一しなければなりません。

幸いにも継続して指名をいただくようになり受注も増えているところで、品質を上げつつ効率も上げたい…ということで、やっとSimplyTermsと秀丸マクロを導入してみました。時間ができたら試してみようと以前から思っていたのですが、時間は作るしかないということにもうすうす気づいている今日この頃。

今回、なかなかの大型案件で用語集も膨大なので、SimplyTermsで用語集を一括適用させようというわけです。また秀丸マクロも多数同梱されており、翻訳作業自体はテキストファイルで行うことになります。
詳しい解説、ダウンロードはこちらから。

SimplyTermsについて

マクロについても私はまったくの初心者。SimplyTermsの導入、秀丸マクロの設定については、yukari さん(奇遇にも、私の故郷いわき市在住の翻訳者さん!)のブログが初心者向けに丁寧に書かれていてとても分かりやすかったです。お世話になりました。これからも更新を楽しみにしています。

まだら猫の翻訳日記

用語集も無事適用し、マクロについてはとりあえずyukariさんオススメの「AddTerm(用語集生成マクロ)」、「Dic_DDJamming(辞書引きマクロ)」を設定してみました。便利なものですねー。翻訳しながらほぼ自動的に自分の用語集が出来上がっていって感動です。

いつもは非常に原始的なやり方で、Wordのテンプレートに原稿をコピーしてそのまま上書き翻訳していました。Wordに比べると秀丸の動作の軽さも快適。勝手が違って戸惑う部分もありますが、とりあえず今回でどれだけなじめるか、試してみたいと思います。


無料の翻訳メモリ、OmegaT も試しにインストールして少しいじってみました。ちょっと置換が不便そうな印象で今回は使用を見送りましたが、使い方によっては便利なのでしょうね。まだまだ勉強が必要だなと思います。

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正確さが求められる技術翻訳では、ツールをうまく活用して品質を上げることは必須と言っても過言ではないでしょう。「私は機械などに頼りたくない」という方もたまにいらっしゃいますが、機械翻訳と翻訳支援ツールの区別がついていないこともあるようです。用語の統一などはコンピューターにやってもらったほうが効率も良い上に確実ですよね。

もちろん、翻訳するのは人間です。原文の理解や分かりやすい表現など、人間にしかできない部分に力を注ぎつつ、効率も品質もアップしていけるよう柔軟に努力していけたらと思う、ツール初心者の私なのでした。

新しいことにチャレンジするのが好きなので、あれこれツールをいじってみるのは結構楽しいです^^

 

2013年6月27日木曜日

川べりジョグ

雨が上がったすきに、ジョギング。河口付近は、時間帯によってこんなふうに干潟になります。ほのかに潮の香りも。


とても気持ちがよかったです。昔はスポーツジムに通っていましたが、前後の準備や移動の時間がもったいないことと、外を走る気持ちよさに目覚めたことで、数年前から外ジョグ派になりました。ちなみに、ランニングマシンと比べると同じスピードで走ってもだいぶ負荷が違います。10kmの大会なら何度か出たことがあるのですが、またチャレンジしてみたいです。やはり達成感があって気持ち良いのですよねー。大会に出るなら仲間がほしいところ…。


在宅で仕事をしていると、運動不足が深刻な問題になりがちです。体調管理も仕事のうちと考えて、少しずつでもマイペースで続けていきたいですね。同業の方々にはジョグ好きな人も多いですし、他にも色々な形で運動を習慣化している方が多いようです。水泳やズンバ、ヨガやウォーキングなど。

大好きな川べりの道。雨が続いた後の青空は、何だかとてもありがたく思えます。幸せな環境です :)



 

2013年6月26日水曜日

「赤毛のアン」の名翻訳家、村岡花子さんのドラマ

来年のNHK朝ドラが発表されましたね。「赤毛のアン」は、多くの方がこの村岡訳で読んだのではないでしょうか。

朝ドラ「花子とアン」制作発表・主演は吉高由里子さん

私にとっても昔からの愛読書で、何度読み返したか分からないくらいです。他の方の翻訳でも読みましたが、村岡さんの創り上げた独特の語り口がぴったりはまり過ぎていて、もう村岡訳以外では読めないなと思ったものでした。

私も持っていますが、このドラマには原作本があります。「アンのゆりかご―村岡花子の生涯」、お孫さんが書いたものです。まだ、原稿用紙と万年筆で翻訳していた時代…。扉にある書斎や原稿の写真だけでも手元に置いておく価値があるように思います。あらためて、ゆっくり読み返したいと思いました。

脚本は中園ミホさん。彼女の作品では、昔「やまとなでしこ」というドラマが好きでした。今回はどんな作品になるのか、とても楽しみです。厳しい業界が必要以上に美化されないことを祈りつつ…。


 

 

ワーク・ライフ・バランス

昨日は、突然のお誘いに乗りJAZZライブを聴きに行きました。Emi Meyerさん、可憐な容姿と低めのハスキーボイスのギャップがとても良くて、一瞬でファンになりました。


最近ちょっと忙しくてこもりきりでしたが、すっかり気分もリフレッシュ。こういう時間はとても大切ですね。

フリーランスになりたての頃は、なかなかこんな時間がとれませんでした。仕事を断るのが怖くて友人との約束もドタキャンしてしまったり。常に〆切に追われて、休みもインプットの時間もなくヨロヨロだった気がします。そんな忙しさをかっこいいと思っていた節もあり…。

でも、それで良い仕事になるはずがないなと今は思います。仕事量ややり方も、以前に比べたら自分でコントロールできるようになってきて、睡眠時間を確保しつつ勉強や読書の時間もある程度とれるようになってきました。いろんな意味で余裕ができてバランスがとれてきた気がします(あくまでも当社比)。もちろん多少無理してお引き受けする場合も多々ありますが、要はメリハリ、でしょうか。

良い仕事をするためにも、仕事以外の時間を大切にしたい。そんな意識がずっとありました。それでまた興味が広がったり新たな視点を得られたりしますし、アウトプットばかりでは言葉が枯渇していく感覚があったので。「本を読まない翻訳者なんて信用できない」という言葉を目にしたことがありますが、それは確かにそのとおりだろうなと思います。

ただがむしゃらに仕事をこなす時期も必要かもしれないけれど、長期的な目でバランスを考えていくのも大切だなと。一生この仕事で食べていくことを考えたときに、「年をとっても今の生活を続けていられるか?」と自問自答してみる。人生で何を重視するかも人それぞれ違うはずなので、それも含めて時々見直してみる。そんなベストバランスの模索は、私もまだまだ続けていくことになると思いますし、終わりはないのかもしれません。

ライブの後は、以前から気になっていたハイボールの専門店に行ってきました。

広島1923ハイボールバー

パイナップルを漬け込んだものがとても良い香りで美味しかったです。店員さんも感じがよく、一人でも入れそうな居心地の良いお店でした。そして、同業の友人との楽しいおしゃべり。仕事は少し押してしまったけれど、素敵な一日に感謝(^^)



 

2013年6月23日日曜日

残すべき傷跡

日赤病院前にあった被爆物が移動されて補修中でした。


広島では、原爆ドームだけでなく、至る所でこういった過去の傷跡を目にします。被爆した建物、電車、木などが今もそのまま生きていることを知ったのは、住み始めてからでした。

とても美しい街なのですが、それは一度すべてを失っているからでもある。歩いているだけで、自然といろいろ考えさせられます。

東北でもあちこちで、被災の跡を残すか残さないかについて幾度となく議論になっています。福島に実家がある私も、いまだに津波映像どころか当時の小名浜港の写真すら見たくないので、早く撤去してほしいという人々の気持ちも良く分かるのです。しかし一方で、初めて原爆ドームを見上げたときの衝撃も忘れることができません。伝えていかねばならない過去もあるのだと。

正解がないから難しい。

東日本大震災を思い出すと、もちろんあんなことは二度と起こってほしくありません。心からそう思います。けれど阪神大震災もこの目で見てきた身として、現実に考えることは「次にまた起こったとき、どう行動できるか」なのです。

大自然の脅威には抗えません。その恐ろしさをしっかりと胸に刻み、できる限りの対処をしながら生きていくのが自然と共存するということなのでしょう。喉元を過ぎれば熱さを忘れるのが人間です。このような傷跡は残していくべきなのではないかと、迷いながらも私はそう思います。経験した私たちが忘れないためにも、そして経験していない未来の世代のためにも。

初めて訪れてからまだ2年足らず。広島の街には教えられることばかりです。

 

2013年6月22日土曜日

JTFジャーナルに寄稿しました

先日、JTFジャーナル(日本翻訳ジャーナル)に寄稿しました。遠田和子さんとのご縁で、映画について何か書いてみませんか、とお話をいただいたものです(リンク先はPDFファイル)。

JTF JOURNAL No.265 2013年5月/6月号
P46 【WORDSMYTH CAFE】
映画を通じた外国文化との出会い――そして翻訳へ

    映画との出会いについて振り返るのは、思った以上に感慨深く楽しいものでした。そんなに長い文章が書けるか最初は不安でしたが、このような機会をいただけて感謝しております。他にも興味深い記事がたくさんありますので、お時間のあるときにぜひ開いてみてください。

    遠田さんは、最近Kindleで英訳本を出されたようです(岩渕デボラさんとの共訳)。たしか原作は「ピアニャン」。私も購入済みなので読むのが楽しみです。



     

    気分あらたに

    十数年、細々と日記のようなブログを続けてきましたが、あまりにも長期にわたって書き散らかしてきたためこの辺で一旦リセットしたくなりました。

    思えば、ブログというものが登場する前からちょこちょことつけていたWeb日記。フリーランスになる前どころか、翻訳会社勤めを始める以前、翻訳とは全然関係ない会社にいた頃からどうでもいいことを書いていたなー、などと遠い目になりつつ…。

    翻訳者として独立して7年、千葉から広島に転居して1年あまり。心機一転、新しいブログにお引っ越しです。

    少しは真面目なことも書こうと考えてみたのですが、仕事関係の話はなかなか難しいですね。立派なサイトが他にいくらでもありますし。でも最近、「翻訳者」そして「フリーランス」になるまでの道のりを聞かれる機会が何度かあり、何の変哲もない個人的な話でも興味を持たれるものなのね、と新鮮でした。いずれ、そのへんを少しまとめられたらと思っています。

    とはいえ、あまり堅苦しいのは苦手ですし書けることも限られているので、結局は普通の日記になっていく予感がします。でもそれが私らしい形だなと。大好きな広島の風景なども折にふれてお伝えしていくつもりです。(ちなみにタイトル画像は、大好きな元安川の川べり。ジョギングもお散歩も気持ち良いですよー)

    こんなことに興味を持ってこんなふうに暮らしている翻訳者もいるのかー、広島ってこんな所なのかー、と気楽に楽しんでいただければ幸いです。コメントやツッコミも大歓迎です。どうぞよろしくお願いいたします。