2014年2月21日金曜日

「鑑定士と顔のない依頼人」-オススメの一作

「鑑定士と顔のない依頼人」(@サロンシネマ)

トルナトーレ監督と音楽モリコーネのコンビ…と聞いて、そわそわと楽しみにしていました。予備知識もまったく入れず。「ニュー・シネマ・パラダイス」、「海の上のピアニスト」、「マレーナ」-どこか共通の雰囲気、プロットを持つこれらの作品。そんなイメージで観に行ったのですが…すっかりやられました。文字どおり鳥肌が。

いろいろ書きたいけれど何を書いてもネタバレになってしまいそうで、後味すら口に出せない。ぜひ、まっさらな状態で観に行っていただきたい作品です。予告編も見ないほうがいいかも…。そして、これは一人で行くより絶対誰かと一緒に行ったほうが楽しい!鑑賞後、あれこれ話が尽きないことでしょう。

トルナトーレ監督、何か嫌なことでもあったのかなぁなんて思ってしまいました(笑)。まだ二月だけど、これは今年のマイベストかもしれない。

ジェフリー・ラッシュの演技が心から素晴らしい。そして無数の美術品を眺めるだけでも楽しいのですが、画面の構図もいろんな美術品を元にしていたりします。たとえばポスターの写真が、ゴッホの「タンギーじいさん」であるように。美術に詳しい方なら楽しさ倍増ではないでしょうか。「とげを抜く少年」なども見ておくと良いかも…(コソッ)。私もあまり詳しくないのでDVDで研究できたらなぁなんて思うのですけど、なかなか難しそう。

「タンギーじいさん」

原題は「The Best Offer」。競売のシーンで、字幕では「最上の出品物」という訳でしたが、これは久々に邦題が上手いなーと思いました。

監督が書いたという原作小説もあるそうです。ノベライズしないか、という話が来たときに、「実は撮る前に書いていたものがある」と監督が出してきたものだとか。80ページほどの短編とのこと。



あらためて思い出してみると無駄なシーンは本当に一つもなかったのだなぁと、もう一度観たくなってしまいます。リピーター割引(半券を見せれば、二回目は千円で観られる)に納得…。超オススメの一本です。

 

2014年2月19日水曜日

ルリユールを知っていますか

ルリユール-何度でもつぶやきたくなる、やさしくてあたたかい響き。フランス語で「本を修復する人」だそうです。

「ルリユールおじさん」という絵本との出会いは、いろいろな偶然が重なってのことでした。雑誌で見かけた「チェロの木」という絵本の水彩画に強く惹かれ、図書館で手に取ったのがきっかけです。作者のいせひでこさんは他にも多くの本を出しておられ、ゴッホの研究家でもあります。

「チェロの木」の次に一気に引き込まれたのが「にいさん」。ゴッホの弟テオの視点から書かれた、情熱あふれる一冊でした。まったく子供向けではなくて、ゴッホを知らない人には何のことか分からないであろう内容ですが、書かずにはいられなかったという思いがひしひしと伝わってきます。

そして「絵描き」。いせさんご自身の絵描きとしての思いや葛藤、そしてゴッホへのやまない憧憬が感じられて、何度も読み返さずにはいられなかった。表紙を見ただけで、あ、となります。

「ルリユールおじさん」は、そんな流れのなかで出会った一冊。いせさんがパリで偶然出会ったルリユールのお話だそうで、そのあたりのことは「旅する絵描き」というエッセイで知りました。

お気に入りの図鑑がバラバラになってしまった少女ソフィーが、ルリユールおじさんと出会う。やわらかな水彩画。少女の無邪気な可愛らしさ。手作業で本を修復していく工程も詳しく描かれています。節くれ立った手が美しい。

人生も終盤に向かおうとしているルリユールと、これからのソフィー。その対比がなんとも言えず。同じルリユールだった父を語る場面も胸にしみる。

電子書籍全盛の時代です。私もKindleにはすごくお世話になっています。だからこそ、この絵本は何度読んでも泣けてしまう。「本屋さんに行けば、新しい図鑑はたくさん売ってる。でも、この本がいいの」というソフィー。それは確かに自分にも覚えがある気持ちで、でもいつの間にか忘れかけていた気持ちでした。

バラバラになったページを手作業で縫い上げて、柔らかくなめした革表紙を付けて金文字を入れる。日本にはないそんな職業が、今もフランスに残っていることに深い感動をおぼえます。

ラストがまた良いのです。絵本でこんなに泣いたのは久しぶり。心からオススメしたい一冊です。

「修復され、じょうぶに装丁されるたびに、
本は、またあたらしいいのちを生きる」

印象に残る一節。紙の本がなくなる時代は来ないんじゃないかな、と願いをこめつつ思います。

感動さめやらず模写をしてみると、さらっと描かれたように見える絵の難しさを思い知る。でも、模写って勉強になるだけじゃなく、描いてるときの作者の気持ちまでなぞれるようで面白いです。

あちゃー

全ページ模写でもしてみたら、少しは上達するんじゃないだろうか…なんて思いつつ、納品と確定申告を済ませるのでした。大人ですから。

自分がルリユールおじさんに一冊、装丁を頼むとしたらどの本だろう。そんなことを考えてみるのも楽しいです。

 

2014年2月18日火曜日

「印象派を超えて」-広島県立美術館

先日、駆け込みで県立美術館の展示を観てきました。印象派、点描、そしてモダンアートへの流れはとても興味深かったです。感覚で色の点を並べる印象派に対し、科学的に色彩を分析(黄色と青を並べれば緑に見える、など)して並べるDivisionism(分割主義)。点描を試していたゴッホの描く点が、次第に細長く伸びてあのタッチに変化していく様子。

当時の画家たちがお互いに影響を受け合い、また反発もしながら美術史に新しい流れが生まれていくさまを想像すると、当時の熱気を感じてクラクラしそうでした。ポスターにも採用されているゴッホの「種まく人」の躍動感は本当にすごかった。

広島県立美術館

最近、いせひでこさんという方の本を立て続けに読んでいました。ゴッホへの思い入れがすごく強い方なので、あらためてこのタイミングでゴッホを観ることができて嬉しかったです。

夏にはムーミンの原画展がくるようです。これもぜひ行きたい!
ムーミンの世界を原画約200点で紹介する『MOOMIN!ムーミン展』、全国10会場を巡回

帰り道、ギャラリーヨコタで公募作品展の一般投票をやっていたので、お邪魔してきました。コーヒーやお菓子まで用意してあって、いろいろな作品を観られて楽しかったです。あれこれ目移りしながらも、ちゃんと投票してきました。どれが入賞するのかちょっとドキドキです。

画材も販売しているギャラリーヨコタ

 

2014年2月9日日曜日

二十年ぶりの大雪だとか

広島も二日ほど雪が降っていましたが、うっすら積もった程度でした。関東・東北はすごいみたいですね…家族がみんなそちら方面にいるので、メールしてみたら大騒ぎでした。弟は雪の重みで玄関が開かなくなり、危うく閉じ込められるところだったとか。凍る前に気づいてよかった、と慌てて雪かきをしたそうです。

母がいわきの写真を送ってくれました。東北とはいえ最南端の海側なので、これほど積もるのは珍しいです。大変なのは知りつつも、ちょっとうらやましい…とか言ったら怒られてしまった(^-^;) 風なんかもかなりひどかったようで。東の皆さん、どうぞお気をつけて。

実家の庭

雪の日はすべての音が雪に吸い込まれてしまうようで、寒いけど仕事もはかどります。でも外にも出ずにはいられなかったり。

雪を描きたくなって、いわさきちひろさんを模写。

しんしんと

 

2014年2月6日木曜日

立春過ぎて

春の一句でも…と思いきや、ふわふわり。広島は雪景色でした。残念ながら積もらなかったけれど。今年はほとんど雪を見られなかったので、ちょっと嬉しい。

けぶる街

久々に北海道あたりにでも行きたいなぁ、なんて思いながら、最近買った地図帳をぱらぱら。

旅に出たくなる地図 日本



この地図帳、すごく楽しいです。ちゃんとした地図帳でありながら、地方の名物や行事など、写真もたっぷりあって旅ごころを刺激されます。日本にもまだまだ知らない所がたくさんあるなー、としみじみ。世界地図バージョンもありました。

行くところが決まっていればガイドブックを買えばいいけれど、「どこかに行きたいな」って時にはこういう本があると良いですね~。路線なども詳しく載っているので、旅のイメージをつくるのにも良さそうです。

 

2014年2月4日火曜日

ガジュマルくんがやってきた

グッピーがいつの間にか15匹ほどに増えてしまったわが家も、植物は今サンスベリアだけ(+ときどき豆苗…)。もう少し増やしたいなと思っていたところ、100円ショップで目が合ってしまいました。「ちゅらさん」を観ていた頃から憧れだったガジュマル。

適当に近くのものと背くらべ。

ちっちゃい

百均のわりにはしっかりした幹に見えたのですが、はてさて。ガジュマルって、形が生きものみたいで面白いですよね。本当は植え替えには良くない時期なのですが、ぎゅうぎゅうすぎるので根は洗ったりせずそっと移し替え。鉢を替えるだけでなんだかちょっと立派に見えます。無事に育ってくれますように。

「観葉植物の土」と素焼きの鉢も100円

そのうちパキラもほしいな。室内なのでサンスベリアと同じくハイドロボールにするか迷ったのですが、何となく土のほうが木が喜びそうな気がして。今回は土で試してみました。大きくなあれ。

そういえばサンスベリアが調子悪そうだったのですが、調べてみたら冬の間は完全に水を絶ってしまったほうが良いそうです。お水あげてしまってました。今は絶ってますが、持ち直しますように。植物も個性はいろいろ…大ざっぱな性格なので、枯らしてしまうのが怖くてなかなか増やせません。

でも緑のある生活はいいものですね。森の中に住んでみたいと思ったりもするのですが(清里の物件を物色したことも…)、そのためには虫嫌いを克服せねば。