2013年10月20日日曜日

もうすぐ初落語-「赤めだか」

11月に、初めて落語を聴きにいくことになりました(「立川談春 独演会2013」)。そこで友人が貸してくれたのが、談春氏の自伝的な随筆「赤めだか」(サイン入り!)。

落語の知識がほとんどない私にとっても、一つの物語として純粋に面白かったです。一気に読ませる語り口は流石ですね。「サラリーマンより楽だと思った。とんでもない、誤算だった」という帯には思わずツッコミたくなりましたが(笑)。

「型ができていない者が芝居をすると型なしになる。型がしっかりしたやつがオリジナリティを押し出せば型破りになれる」

師匠であった立川談志の言葉。どんな世界でも通用しそうです。

落語界の人間関係は厳しいものですが、一人一人がしっかりと個を保っているところに感銘を受けました。気骨がある。毎日のように行動を共にしていても決して馴れ合いにならず、きっちり線引きをしている生き方が清々しいです。

「立川談志は天才だ。(中略)そんな凄い芸人が落語というひとつの芸能の中で、五十年の間に二人も三人も出現するわけがないだろう。憧れるのは勝手だがつらいだけだよ。談春は談志にはなれないんだ。でも談春にしかできないことはきっとあるんだ」

真打ち試験をなかなか受けようとしない談春の背中を押した、さだまさし氏の言葉が胸に響きました。と同時に、立川談志という人はすごい人だったのだなぁと。師匠に対する恋心にも近い尊敬と憧れ。そこまで思える師がいるというのは、ちょっと羨ましくもあります。

いくつかオススメされた作品を聞きつつ、当日を楽しみにしています。厳しい世界で磨き抜かれた芸、初めて覗く世界にワクワクです。

----------------------------------------

この本は、ルビの工夫が面白いなと思いました。地の文でも会話文でも、談志(イエモト)、談春(オレ)、談春(アニ)さん、花緑(ワタシ)などと表記されています(カッコ内がルビ)。登場人物が多く似ている名前も多いので、単に「俺」、「私」となっていたら分かりづらかったでしょうね。とても読みやすかったです。

また本筋とは関係ないのですが、落語には著作権がないということに驚きました。既存の作品は誰でも自由に演じて良いそうです。まともに観たことがなかったころは落語はお笑いに近いイメージだったのですが、動画で観た印象は演劇に近いものだったので、なんだか不思議です。でも法律上はどうあれ義理を立てるという面がもちろんあり、とても日本的だなと思いました。

赤まだき

 

0 件のコメント:

コメントを投稿