2016年6月25日土曜日

工業英検1級に合格しました

先ほど、工業英検1級の合格通知が届きました。やったー(^ ^) 予定より4日ほど早く、速達でした。

立派なバインダー入り

やはり嬉しいです

翻訳の仕事に資格は関係ないとよく言われますし、実際そう思います。しかし何か目標があったほうが勉強ははかどりますし、工業英検は数ある試験の中では実務で一番評価されやすいものだという考えがありました。一般の人にはあまり知られていない資格ですが、1級所持者は全国でも500名程度のはず。また、私は法学部出身で理系のバックグラウンドがないので、特許の仕事をしていく上で何かしら指標になるものがほしいなとも思っていました。

そもそも工業英検を受けてみようと思ったのは、内容が実務にとても近いものだったからです。一部和訳もありますが、英訳や英文の要約、リライトなどがメインで、最近英訳の依頼が多い私にとってはとても実用的に感じられましたし、資格を抜きにしても学んでおきたい内容でした。

過去問は公式サイトから入手できますので、ここである程度自分の力を知ることができます。3級の過去問は楽に解けたので、最初は2級を受験しました。これはすんなり合格しました。

次は1級…と考えるのが普通ですが、ちょっと腰が引けていたのも事実です。なんといっても1級には口頭試験がありますし、しかも東京と大阪でしか受験できません。安くはない受験料に交通費を考えると、ちょっと覚悟が必要でした。

1級1次の筆記試験は、最初に受けたときは不合格Aでした。何が足りなかったのか大体自分でわかっていたので、そこを補う勉強をして2回目の受験で筆記試験に合格。しかし、このときは2次の面接で落ちました。落ちた理由もよくわかりました。私には個人翻訳者としての視点しかなかったのです。たとえば大きなライティングプロジェクトを進める場合、マネージャーになったとしたらどう進めるか。ミスを毎回確実に防ぐにはどんなシステムを構築すればよいか。テクニカルライティングの初心者にどんなアドバイスをするか。そんな経験も視点もなかった。次の面接にはそのあたりをさんざん考えてからのぞみました。大局的な視点ですね。

こうして、自分に足りないものを分析する力は1級には必須です。なぜかといえば、2級の合格基準は「実務者としての能力」ですが、1級のそれは「指導者としての能力」だからです。

工業英検に関しては十分な参考書や問題集があるとは言えません。手に入るものは全て読みましたが、情報も少ないです。過去問をひととおりやってしまったら、さてどうするか? とあるセミナーで講師の方が仰っていたのは、「ネットにある文章などをかたっぱしから英訳して、自分で添削しなさい。指導者を目指すレベルなのですから、添削できなければダメでしょう」ということ。ハッと目が覚めた気分でした。確かにそうだなと。

今まで指導者を目指したことなどなかったので、そういう視点がありませんでした。今思えば、2次の口頭試験ではそういう点も見られているのだと思います。テクニカルライティングについて、大事なポイントをいかに的確に分かりやすく相手に伝えられるか。そして、指導者になる機会はなくとも「自分自身の指導者になれる」ということは、今後長く仕事を続けていくためにも貴重なことのように思えます。

面接の後に一息ついた、昔ながらの喫茶店

2次の口頭試験の面接官は、日本人が3名、ネイティヴが2名でした。質問はすべて英語ですが、日英どちらで答えても構いません。初回と2度目では、私の場合は質問内容が結構変わりました。思いもよらないところにどんどん突っ込まれて、かなり焦りました。去年の質問に関しては完璧に用意していたのに!(笑)でも、今回は根本的なところから考え直してそれなりに準備していたので、自分の考えをたどたどしいながらも伝えることができました。細かいところに突っ込まれて答えに詰まってしまったとき、他の面接官の方が分かりやすく言い換えて助け舟を出してくださったりもしました。1回目とはやはり手応えが違ったなと思います。かなりインタラクティブだったなと。去年はほとんど触れられなかった、特許に関することなども結構聞かれ、15分の予定が20分は経っていました。

恥をしのんで経過を書きましたが、こうして落ちることで自分の弱点に気づき、そこを自ら補強して自信を固めていく過程を踏めたことが、合格自体よりも大きい収穫だったように感じています。チャレンジしてみて、本当によかったです。

今年はフリーランスになって10年目。ちょっとした節目に、うれしい記念となりました。これからも小さな目標設定を大切にしてさらに精進していきたいです。私も山に登ってるばかりではないんですよ…

ちなみに筆記試験に持ち込んだ辞書は「エクシード英和・和英辞典」と「テクニカルライター英和辞典」です。1回目の受験の時はもっと大きいのを持って行きましたが、どうせほとんど引く暇はないのでコンパクトなものにしました。ど忘れした単語を確認する程度なので、これで十分でした。


小さな辞書で十分です

長くなってしまったので、参考になったテキストなどはそのうち気が向いたら別記事にまとめようかなと思います。とはいえ、定番のものしか使っていませんが。
(まとめました→ 「工業英検1級の勉強法など」

今回の合格率です。いつの間にか準2級ができていたんですね。



 

2 件のコメント:

  1. たんちゃん2016年6月26日 9:37

    うっちーすごいね、おめでとう♪
    詳細を知ると、ほんとにすごいことなんだと理解できたよ(・o・)
    山のぼってるばっかじゃないこともよくわかりました。

    こんなに頑張ってる友人がそばにいたら
    私もがんばらねばと必然的に刺激を受けちゃうわ
    それもこれも山からのパワーのおかげもあるんだろうね!

    個人的にはあのレトロな喫茶店も気になるわ
    舞子近辺で見つけたのかな?
    私も先日の大阪では、純喫茶に入ってまったりしたくちだよ~!

    さ、まずは山での祝杯だね、
    お互い次への一歩のためのご褒美を楽しみましょう(^v^)/

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    1. たんちゃん、ありがと(^^) 最近、なにかというと「どうせまた山でしょ」みたいなこと言われることがあって、ちょっとイラッとしてたのが自分の中で解消されたよ(笑)

      こうして頑張れるのは、もちろん山のパワーも大きいんだよ。これだけ登りながらも仕事量は以前より増えてるしね。

      喫茶店は、桜ノ宮という駅の近くだったよ。ほかに何にもなさそうなところだったから、たんちゃんも行ったことないかもね~。レトロな喫茶店、好きなんだよね☺

      ではでは、山での祝杯、楽しみにしてます♪

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